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小説

鸞奇談 6-1

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刻一刻と夕暮れが迫り、涼風が御簾を揺らす午後。カタカタと物音がする部屋。


「はぁ・・・」

溜息を漏らしながら着物を畳んでいるのは桃花だった。
先ほどのことを引きずってか、表情は曇り、手は動いているものの、心ここにあらずのように見える。


煌びやかな着物の数々、物は少ないが、それがまた趣を感じさせるモダンな部屋。
昼間に比べてほんの少し淡くなった外の光。ふわりと頬を撫でる初夏の風。

庭で咲いていた花たちが生き生きと活けられている繊細な作りの花器。
女性が憧れる空間だが、その空間の主はそこにそぐわない影を落としている。


「これは国の女の子達にあげて・・・こっちは破れてるから切って・・・あと、これ・・・は・・・」

遂には手を止め、畳みかけの着物を見つめたまま、座り込んでしまった桃花。

そんな彼女の丸まった背中にふと差し込む人影。


『桃花様・・・いらっしゃいますか?』

高過ぎず低過ぎずな優しい声に桃花が振り向く。

「その声・・・ここにいるわ、どうぞ」

『失礼します』

御簾を潜って入ってきたのは、いかにも優しげな空気を纏う一人の青年。

「わざわざ部屋に来るなんて珍しいわね、どうしたの?」

畳んだ着物を奥に置いて尋ねる桃花に、青年はふわっと笑顔を見せる。

『末摘様が心配なさっていましたから・・・』

「え?」

『泣いているんじゃないか・・・と』

柔らかな笑顔を絶やさないままそう口にする青年。

黄丹のような子供っぽい無邪気な笑顔でもない、青藍の凛とした微笑でもない
陽だまりのような、温もりのあるほっとするような笑顔、というべきだろうか?



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