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小説

鸞奇談 2-4

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「この桃色の衣が春の衣であることはわかってるの・・・でも・・・
 折角、母様がくださった名前の色なんですもの・・・ずっと身につけていたいの」

ただの我侭かと思いきや、その我侭の裏には桃花なりの乙女心が含まれていたらしい。
侍女に迷惑をかけたとわかっていても、どうしても譲れない子供なりの意思があったのかもしれない。
母親が絡んでいるならなお更に。

「また来年の春までなんて、寂しいんだもの・・・」

そういうほどに、桃花は昔から自身の名前に関係する「桃」に特別な愛着を抱いていた。
その1つが、彼女が髪にさしている可愛らしい桃の花枝を模した簪である。
髪をおろしても結い上げても、この簪だけはつけるのを忘れないくらい日々大切にしている。

「気持ちはわからんでもない。じゃが、いくら気に入っているとはいえ
 その季節に合わせた格好をするというのは最低限の礼儀じゃ。
 国民も時と場合、そして季節に合わせた格好で日々仕事に勤しんでおる。
 お前も姫なら、この意味がわかるな?」

「ええ、わかっているわ・・・」

そう、王家はいわば国の顔。外来からの客人や行商人など、この国にも少なからず
他国から足を運ぶ者はいる。そこで我を通した格好というのはあまり好ましくない。
更に季節の変化に衣を変えるのは見栄えだけでなく体への負担も減る。
だから末摘も念を押し、無論、桃花もそれは重々理解していた。



『それでしたら、「桃色」は無理でも、それに似た色の衣を選んでみてはいかがでしょう?』



再び重くなりそうな空気を変える鶴の一声が三人の耳に届く。と同時に、差し込む人影。

その声と影の持ち主は、正しくこれからの季節を象徴する色彩を連れ、静かに微笑んでいた。


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